WHAT'S THE SPORT FISHING BOAT?フィッシングボートの基礎知識(8)
ハル(1)文・図/中島新吾ボートに関する基礎知識の、さらにその基本といっていいのが、ハルに関することである。ハルに関することといっても実際にはさまざまだが、今回からはその形状の違いなどを考えていこうと思う。で、形状といっても、これまたさまざまな見方があって、その視点によって分類の方法も異なるわけだが、第1回目は、一番把握しやすい、その断面、それも船首尾線に対して垂直な断面によるハル形状の違いをいくつかご紹介しておこう話の大前提の話まず、今回のお話の大前提となる話をしよう。今回は、ハルの船首尾線に対して垂直にとったハル断面によって分類すると、こんなハルが(あるいはこんな名前のハルが)ありますよ、という話である。こういった内容のことは、よくボートの入門書などにも書かれていて、ラウンドボトムはこんな、V型ボトムはこんな、という説明があったりする。しかし、中には明らかにおかしいと思えるものもないわけではない。
たとえば、ディープVという、比較的名前の売れた船型を説明するのに、ボトムのVを深く描いたV型のハルの断面をひとつだけ描いて、『こんな風に、デッドライズ(船底勾配)の深いのがディープVです』という書き方をしたりする。これはとんでもない話だ。そもそもディープVというのは、モノヘドロン(トランサムからミッドシップまでボトムの断面がほとんど変化しない)であることが第一の要件で、それがその船型の特性のかなりの部分を規定している。当然、ハル断面の一ケ所でディープVが定義できるものではない。たしかに限られたスペースで説明するのは難しいが、それならば説明すべきではない。これでは、象という動物を見たことがない人に対して象の尻尾の写真を見せ、「これが像です」と説明するようなものだ。
なにしろ、フネ用語そのものがまちがって使われることの多い日本なのだから、ディープVの説明がおかしくとも、それほど不思議はないのだが……。
というわけで、今回いくつかご紹介するのは、あくまでも、“ハルの断面”という視点から見た場合の分け方であって、それがそのままハルの呼称となる場合もあるが、そうでない場合もある、と考えてほしい。たとえば、5のコンケイブVの場合、そのハルのすべてがコンケイブとい
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